身体を動かす大切さを教えてくれる保健体育科教員の長田風花さん

2023年1月13日

長田風花さんインタビュー動画

インタビュイー

長田風花さん

profile

長田風花さん
北海道出身。
5歳からテニスをはじめ、個人・団体ともに道大会での優勝経験を持つ。
高校生の時、「運動の楽しさを広めたい」と、体育の先生になることを決意。
札幌国際大学に進学してスポーツ統計学を学びながら、硬式テニス部にて活動。
現在は北海道の高校教諭(保健体育)。

現在のお仕事内容を教えてください。

現在は北海道で保健体育科の教員をしております。校務分掌は生徒指導部です。
もうとにかく遣り甲斐しかなくて。本当に毎日楽しく学びある実りある毎日を送っております。

今年の春からは担任を持っています。教員の本質はやっぱ担任を持たないと分からないなっていうふうに思っているんですけど、もうとにかくクラスの子が可愛くて。とにかくこの子たちが卒業するときにうちの学校に来てよかったなって笑顔で卒業してもらえるように、何とかサポートして一緒に成長していけたらいいなと考えながら日々働いております。

専門は硬式テニスで、5歳からテニスを続けているんですけれども、うちの学校にテニス部がないので、卓球部の顧問をしています。

スポーツ統計学を専攻されていたということですが、どういった研究をされていましたか。

「体育嫌い」と「運動嫌い」があり、まずそこの区別から始めて、「体育嫌い」を無くすためにはどうしたらいいかの研究をしました。

道内の1,000名を超える生徒さんにご協力いただきまして、高校で体育が嫌いと思っている、その原因は何なのかを探りました。アンケート用紙の中でいろいろ分布を探って、嫌なトラウマのような経験があった部類なのか、そもそも運動が嫌なのか、集団で行動するのが嫌なのか、小さいときから成功体験がないから嫌なのか、何で嫌なのか。
そして、どういうところを改善していったらいいのか。学校教育としては、体育を好きになってもらうのがもちろんいいので、そのためのヒントを探っていきました。

その研究が今の教員の仕事に生きていることはありますか。

そうですね。道内のいろんな学校にまず電話をかけて、校長先生とかとお話をしてっていうところからも学びの一つだったなというふうに考えております。また、卒論は何万字というものすごい量を書かなきゃいけないので、先輩に相談したり、先生に頼ったり、そういうやり取りも学びだったなと思っています。
働いてからは、もう研究と繋がることばかりです。卒論の結果をこのままにしないで研究を続けて、実践的なものも絡めて、今後も論文を書いていきたいなと考えております。

どのような経緯で進路のご決定をされたんでしょうか。

私、看護師になりなさいってずっと言われていたんです。親戚も女性はみんな看護師で、私も「看護師さんになるんだな」という感覚でいました。でも、高校2年生のときに自分の進路について考える機会があって、そのときに「私って本当に看護師さんになりたいのかな」って自問自答して。その時に初めて「違うわ」と思って、もう1回考えました。部活のこととか友達関係のこととか親とのこととかでストレスがかかってモヤモヤしてる状態のときに、高校の体育で思いっきり体を動かした後、気持ちとか体の調子がすごく晴れ晴れとして、前向きに過ごしている自分に気づいたんです。「すごくいいことだな。私はこれから先もずっと体を動かして生きていくんだろうな」と。かつ、この感覚をもっといろんな人に伝えることができたらいいなと思いました。
ストレスが溜まっている時、寝よう、食べよう、ゲームしようだけじゃなくて、その選択肢の中に「ちょっと散歩行こうかな」「ちょっとテニスしようかな」「ちょっとボーリング行こうかな」っていう、運動するっていう選択肢が増えたらいいなと。そういう人をもっと作っていきたいなって思ったのが教員を志したきっかけです。

小学校は担任制なので、1週間の中で1時間とか2時間とか、あまり体育の授業がないですよね。私は体育にしか関わりたいと思ってないから、小学校は違う。じゃあ中学校か高校の教員になるのが良い。じゃあどっちの方がいいんだろうって考えたときに、やっぱり最後に生徒にアプローチできるのは高校だなと。だから運動に対してイメージをガラッと変えるタイミングは高校だな、じゃあ高校の先生になりたいなっていうのが経緯です。

大学で学ばれて勉強してよかったと思うことはありますか。

教育心理学と教育関係の授業っていうのは働き出してからはすごく繋がることが多かったです。
あとは、栄養学です。「この時間にこれを食べなさい、理由がこうだ」っていうところまで突き詰めてやっていただける授業でした。自分たちでメニューを考えるっていう授業内容もあったので、すごく具体的で実践的だったなというふうに感じています。

今の高校は毎年マラソン大会があるんです。去年、その栄養の面や靴などの指導を特にしなかったら、倒れる子が続出してしまったんです。その反省を踏まえて、もう1人の保健体育の教員に相談しました。「栄養学の、私が勉強してきたことを、生徒に還元する機会作ってもいいですか」って。「いいよ」って言ってもらって、プリントを作って、「このマラソン大会当日は男子は何時出走だから何時に起きて、どれぐらいの飲み物を飲んで…」っていう話をしたところ、タイムアップした子もたくさんいました。

マラソン大会終わった後に「先生の言った通りにやったらすごい体軽くて走り終わるまで喉カラカラにならなかったし、言う事聞いて良かった」って言ってくれる生徒もいて。やっぱり大学で勉強してきたことっていうのは働いてからも繋がることがあると思いました。

今ご自身が高校生だったら、どういう言葉をかけますか。

私、札幌国際大で良かったなってすごく思っているんです。

大事なのは、どこの大学を選んでも卒業するときに、ここの大学でよかったなって胸張って思えるような学生生活を送れるか。あとは就職先が結局大切になってくると思うので。大学選びに迷っていた時期もありましたけど、常に前向きに、どこの環境に置かれてもそこでできる最大限のことを自分がやっていけば、どこに行ったって大丈夫だよって思っています。

だから札幌国際大って本当に私自身、後悔はないし、札幌国際大を出たから今のこの人格というか今の私がいるんだなって思っているので、自分の気持ちとかやりたいこととか直感、そういうのを信じていいよって。先生の言うこととか親の言うこととか、周りに流されないで、私は私の人生だからって、そう言いたいです。

大学に行くこと、大学に進学をすること、大学に行って勉強すること、あとは大学でスポーツをすることっていうのはどんな意義があると思われますか。

大学運動部は、自由度があって縛られない大学という環境に来てまでスポーツを続けるっていうことに覚悟を持った人たちの集団だと思っています。
そういう高いモチベーションがある人たちの集団の中に自分が身を置くっていうことはもうプラスのことしかないと思います。大学に来ないと出来なかった経験とかものすごくたくさんありますし、4年間あったから、札幌国際大に来たからできた経験っていうこともものすごくたくさんありました。
やっぱり大学の4年間はすごく濃かったです。今の自分を作り上げる礎というか、それよりもっと上の…そうですね、他の人とは違う自分の部分をどんどん、いろいろ飾り付けていくというか。いろんな種類の自分の価値をつける機会になったなと思っています。あとは、大学って勉強する場所だと思うんです
「学生」って「学んで生きる」って書くと思うんですけど、「従って生きる」高校生までとは全く別の世界なので、大学に進学して自分がやってきた、私はテニス、これを見てくださっている高校生の方は今までやってきたスポーツを違う学問的な角度から学ぶっていうことは、今までの自分の考えの間違いとか、やってきたことの間違いとかを是正する機会になると思いますそれもまた、その先の就職先を考える上でも、自分の視野を広げる部分になると思います。
だから大学に来て、テニスを学んでスポーツっていうものを学び直して、ただやっていたものから、学問としてスポーツを捉えることができて私はすごくよかったなと思っています。

 

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