部活も勉強も妥協したくない。両立して見えた景色|大学でボートに打ち込んだ森田紗貴子さん!

森田紗貴子さんインタビュー動画

森田紗貴子さん

profile

福井県出身。
中学ではバレーボール部、高校では文化部に所属。
大学生になって初めてボート部に入部し、コックス(舵手)として活動。
部活引退後はアメリカに7か月留学を経験した。
現在はファイザー株式会社でMR(営業)を担当。

森田

「学びたい!」から選んだ学部

どのような経緯で進路を決めましたか?

子どもの頃から民族衣装や映画など海外の文化に触れることが大好きで、漠然とした憧れがあり、留学を経験してみたいとの思いもありました。そこで、異文化コミュニケーションを学ぶことができ、留学が可能で、住みたい街に立地している大学、という観点で進路を検討しました。
結果として、希望に合致する学部があることに加え、大学や街の雰囲気が外に開かれていてとても風通しがよさそうだと感じた神戸大学に進学しました。

大学ではどのようなことを学びましたか?

森田

希望通り異文化コミュニケーション論を専攻しました。異文化とは国際的なものだけをさすのではなく、年齢や信条、環境など様々な要因が絡み合ったとても複雑なものです。結論として、「世の中に全く同じ考えの人は一人もいない」という、一見当たり前に思う結論に至ったのですが、これが実は頭ではわかっていても実践するのは至難の業だということも様々な事例から学びました。学びたい、という純粋な興味で選んだ学問であったため、とても楽しく、そこで培った考え方は現在の仕事にも活かされていると感じます。

留学されたそうですが、どのようにして決めましたか?

留学は最後のインターハイが終わらないと実行できませんでした。そのため、大学のカリキュラムを利用した交換留学ではなく、個人で留学エージェントを探すことで、7か月という短い期間ではあったものの、長年の夢をかなえることができました。

大学で学んだことはどのような場面で今の生活やお仕事に活きていますか?

仕事を進めるにあたり他者とのコミュニケーションは必須です。その時に、自分の考えを押し付けるのではなく、まず相手のバックグラウンドを理解してから仕事を進めるとうまくいくことが多いです。日本人同士で働いていたとしても、お互いに違う人間であるので、大学で学んだ考え方が他者を尊重しながら課題を解決していくためのベースになっていると感じます。

週5日合宿!?予想外だったボート部の生活

高校時代は大学でスポーツをしようと考えていましたか?

私は高校時代は文化部に所属していました。高校を卒業した時に、「私、高校時代に何をやったのだったっけ?」と思ってしまうほど、特に何にも打ち込むことなくゆるく過ごした自覚がありました。そのため、大学では何か一つ「これをやりました」といえることを作って打ち込みたいなという気持ちがありました。
その時点で、体育会の活動に打ち込もうとまでは考えていませんでしたが、縁あってボート部に入部することになりました。

大学運動部はどんな感じでしたか?

ボート部

ボート部だけだと思うのですが、週5日合宿生活でした。
クラブハウスに泊まり、朝4時から練習して、終わってから学校に行き、放課後またクラブハウスに集まって練習し、夕飯をとり、合宿所に泊まってまた翌朝練習するという生活でした。バイトして、遊んで、部活をするというワークライフバランスの取れた生活が送れると思っていたのですが、実際は部活が8割、学業が1.5割、で残りがプライベートの時間というバランスになってしまったことには驚きました。

0から始めたボート。磨かれた問題解決能力

大学運動部で活動する中で大変だったことはなんですか?

森田

ボート競技は多くの人が大学から始めた「初心者」です。まずは協議を理解して、先輩から練習法を学んだり、新しいトレーニングを取り入れるために外部のコーチを招聘したり、練習の組み方を変えてみたりなど、本当に手探りから初めて、試合で結果がでたら改善して、という地道な作業を繰り返しました。
前述のように本当に大変な練習環境だったため、何度も辞めたいと思ったのですが、そんなときは一旦部活を離れて頭を冷やしました。そうすると、不思議と戻りたくなったり、「今やめたらもったいない」と冷静に考えられるようになったりするのです。チームメイトの助けもあり、なんとか最後のインカレまでやり遂げることができました。

大学運動部を経験してどのようなことが身に付きましたか?

まず、責任あるポジションにつくことで精神的にタフになりました。
それから、問題を特定する力と、それを解決する力、やり遂げる力も身に付きました。これらが現在の仕事に大きく役立っています。
また、人間関係の面も大きいです。ボート部の仲間とは文字通り寝食を共にしてきました。長い人生とは言え、そんな人間関係はなかなか作る機会がないと思います。それぞれが困難やスランプを乗り越えてきているので、お互いに尊敬し、信頼しています。そういった信頼関係がベースにあることが、自分自身の成長や自信につながっているので、得難い経験だったなと思います。

スポーツだけでなく学業も。両立することの重要性

デュアルキャリア(学業と競技の両立)はどれくらい意識していましたか?

森田

学業に関しては、私の場合は「ここに行きたい!」という気持ちを強く持って選んだ学部だったため、1,2年生の時は「部活よりも学業がしたい!」という気持ちが強かったです。
そのため、朝4時から7時まで練習して、すぐに大学に行くというのは私にとっては当たり前のことでした。
大学スポーツには、「授業はそこそこでいいや」と学業を軽視しがちな傾向があります。しかし、そこに流されるかどうかが、のちの就活活動にとても効いてきます。実際、就職活動をしてみると「部活をがんばりました」では足りなくて、「部活と同時に学業にどう取り組んできたのか」を企業は見ていると感じました。
私はご縁があって、留学中に面接を受けた企業から内定をいただき、就職したのですが、部活動をやっていたことそのものというより、部活動をやっていたことで「私はこういう人間です」と語れることがとても多くなったので、特別な対策をする必要はなかったです。

両立するために意識していたことは何ですか?

周りに宣言することです。
私は留学したい気持ちが強かったことと、教員免許も取得したいと思っていたので、そのことを周りに伝えていました。
例えば、「私は絶対に留学したいから,TOEICやTOEFLのスコアをここまでは取りたい」とみんなに話します。そうすると周りも理解してくれて、勉強をしている間は話しかけないでくれたり、練習が終わってからだらだらストレッチをしないなど、練習にもメリハリがついたりして、うまくタイムマネジメントすることができました。

デュアルキャリアを実現するためにどんな行動をとる必要があると思いますか?

大学は社会人になる前に主体的に動くことのできる最後のチャンスです。ここで流されてしまうと、大学に入った理由が半分なくなると考えてもよいと思います。高校までは親や先生、指導者がある程度導いてくれていた勉強や部活動も、大学ではすべて自分で選んでいかなければなりません。部活を誰かに強制されることはないし、学業も取りたい授業を自分で選んでカリキュラムを組んでいくため、自ら考えないと本当に何もしないまま大学生活が終わってしまいます。
部活を頑張った、という学生はたくさんいます。「部活だけではなく、学業も頑張りました」といえる学生が希望の進路に進んでいけるのだと考えます。

これから大学に進学する高校生へ

自分の可能性に自分で制限をかけないでください。
例えば、文系・理系は、高校2年生なら自由に選べます。苦手だから…と決めつけてしまわず、自分が本当に勉強したい内容、将来やってみたい仕事のことを考えて、可能性の幅を広げていただきたいと思います。
親に守ってもらえる環境で大学にチャレンジできるのは高校生が最後です。社会人になってからの大学進学も可能ですが、今とは違う困難が伴います。
ぜひ、「高校生」という一枚きりのカードを有効に使って、将来の選択肢を広げてください。応援しています。

 

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